CFC税制(外国子会社合算税制)とは
CFC(Controlled Foreign Corporation)税制、日本では「タックスヘイブン対策税制」とも呼ばれ、日本の居住者・法人が軽課税国に設立した外国関係会社の所得を、日本の税務上、株主の所得として合算課税する制度です。
2017年の税制改正で大幅に見直され、現在は「特定外国関係会社」と「対象外国関係会社」に分けて課税されます。
CFC税制の基本的な仕組み
適用対象となる「外国関係会社」
以下の要件を満たす外国法人が外国関係会社となります:
- 日本の居住者・内国法人が直接・間接に50%超の株式を保有
- 実質支配関係がある場合も含む
課税される所得の種類
CFC税制では、外国関係会社の所得を以下の2つに分類して課税します:
1. 特定外国関係会社(ペーパーカンパニー等):
- 実体のないペーパーカンパニー
- 事実上のキャッシュボックス
- 黒字国外関係会社
これらは、所得全体(会社単位合算)が課税対象となります。
2. 対象外国関係会社(一般的な外国子会社):
- 受動的所得(配当・利子・使用料・有価証券譲渡益等)のみが課税対象(受動的所得合算)
軽課税の判定基準
外国関係会社の租税負担割合が30%未満(特定外国関係会社は20%未満)の場合にCFC税制が適用されます。
租税負担割合の計算:
租税負担割合 = 外国法人税額 ÷ 税引前所得
適用除外(経済活動基準)
対象外国関係会社については、以下の4つの基準をすべて満たす場合、CFC税制の適用が除外されます:
1. 事業基準
主たる事業が株式保有・債券保有・工業所有権等の貸付・船舶・航空機の貸付でないこと(これらは適用除外にならない)。
2. 実体基準
本店所在地国に主たる事業に必要な事務所・店舗・工場等の固定施設を有すること。
3. 管理支配基準
本店所在地国において事業の管理・支配・運営を自ら行っていること(取締役会を現地で開催等)。
4. 非関連者基準または所在地国基準
- 非関連者基準:主として関連者以外との取引で収入を得ていること
- 所在地国基準:主として本店所在地国で事業を行っていること
CFC税制の実務対応
申告義務
CFC税制が適用される場合、日本の株主は確定申告書に外国関係会社に関する書類を添付する義務があります。
添付書類:
- 外国関係会社の貸借対照表・損益計算書
- 租税負担割合の計算書
- 適用除外の判定書類
合算所得の計算
合算される所得は、日本の税法に基づいて再計算します。外国の会計基準・税務基準ではなく、日本の法人税法の規定に従って計算します。
二重課税の排除
CFC税制で合算課税された所得について、後日外国関係会社から配当を受け取った場合は、二重課税を排除するための調整が行われます。
CFC税制への対策
実体のある事業会社の設立
ペーパーカンパニーではなく、現地に実体のある事業会社を設立することで、経済活動基準を満たし適用除外を受けられます。
実体化の要件:
- 現地での事務所・工場等の確保
- 現地従業員の雇用
- 現地での取締役会開催
- 現地での意思決定
軽課税国の選択
租税負担割合が30%以上の国に子会社を設立することで、CFC税制の適用を回避できます。
主要国の法人税率(参考):
| 国 | 法人税率 | CFC適用 |
|----|---------|---------|
| シンガポール | 17% | 適用(30%未満) |
| 香港 | 16.5% | 適用(30%未満) |
| UAE(ドバイ) | 9% | 適用(30%未満) |
| 英国 | 25% | 適用(30%未満) |
| ドイツ | 約30% | 適用除外の可能性 |
能動的所得への転換
受動的所得(配当・利子・使用料等)を能動的所得(事業所得)に転換することで、受動的所得合算の対象外とすることができます。
まとめ:CFC税制対応チェックリスト
| 確認事項 | 対応策 |
|---------|-------|
| 外国関係会社の租税負担割合 | 30%以上の国への移転を検討 |
| ペーパーカンパニー該当性 | 現地での実体化(事務所・従業員) |
| 経済活動基準の充足 | 4つの基準をすべて満たすよう整備 |
| 申告書類の整備 | 毎年の確定申告に添付書類を準備 |
| 二重課税の排除 | 配当受取時の税額控除を適切に申告 |
CFC税制は複雑で、個々の状況によって対応が異なります。国際税務の専門家(税理士・弁護士)に相談しながら、適切な対策を講じることが重要です。



