海外資産・国際税務
2026年2月27日2分で読める2

海外不動産投資の税務:米国・シンガポール・ドバイ物件の課税と申告

鈴木 大輔

税理士・国際税務専門家

海外不動産投資の税務:米国・シンガポール・ドバイ物件の課税と申告

海外不動産投資と日本の課税

日本の居住者(税法上)が海外不動産を保有・賃貸する場合、海外での賃料収入は日本の所得税・住民税の課税対象となります。また、海外不動産の売却益も日本で課税されます。現地国でも課税される場合は二重課税となりますが、外国税額控除により日本の税額から控除できます。

主要国の不動産課税の特徴

米国の不動産は、賃料収入に対して連邦所得税(最高37%)・州所得税が課税されます。売却時はキャピタルゲイン税(長期保有で最高20%)が課税されます。外国人投資家は、売却時にFIRPTA(外国人投資家不動産税法)に基づき売却代金の15%が源泉徴収されます。シンガポールは法人税17%・個人所得税最高22%ですが、キャピタルゲイン税がないため売却益は非課税です。ドバイ(UAE)は所得税・キャピタルゲイン税がなく、不動産投資の税負担が極めて低い環境です。

国・地域賃料収入課税売却益課税外国税額控除
米国連邦+州所得税(最高37%)キャピタルゲイン税(最高20%)○(日米租税条約)
シンガポール個人所得税(最高22%)なし(キャピタルゲイン税なし)○(日星租税条約)
ドバイ(UAE)なし(所得税なし)なし(キャピタルゲイン税なし)—(租税条約なし)
タイ個人所得税(最高35%)源泉徴収税(売却代金の1%)○(日タイ租税条約)

海外不動産の減価償却特例の廃止(2021年)

2021年の税制改正前は、海外不動産の建物部分について日本の耐用年数より短い「中古資産の耐用年数」(例:木造22年→4年)を適用して多額の減価償却費を計上し、給与所得等との損益通算で節税するスキームが広く使われていました。しかし、2021年の税制改正により、個人が海外不動産の賃貸で生じた損失は、他の所得との損益通算が認められなくなりました。この改正により、海外不動産を活用した節税スキームは大幅に制限されています。

まとめ:海外不動産投資は税務専門家との連携が必須

海外不動産投資は、現地国と日本の二重課税リスク・外国税額控除の計算・現地の税制変更リスクなど、複雑な税務上の問題があります。投資前に、現地の税理士・弁護士と日本の国際税務専門家の両方と連携して、税務上のリスクと節税効果を正確に把握することが重要です。

#海外不動産投資#国際税務#外国税額控除#二重課税#FIRPTA
シェア

関連記事