在宅勤務・テレワークの経費と税務
コロナ禍以降、在宅勤務・テレワークが広く普及しました。自宅で仕事をする場合、家賃・光熱費・通信費などの費用が発生しますが、これらを税務上の経費として計上できるかどうかは、雇用形態(給与所得者・個人事業主・法人役員)によって異なります。
給与所得者の在宅勤務経費:特定支出控除
給与所得者(サラリーマン)は、原則として実際の経費を控除することができません。ただし、「特定支出控除」を利用することで、一定の支出を給与所得から控除できます。在宅勤務に関連する特定支出として認められるのは、①職務に直接必要な技術・知識の習得費用(研修費・資格取得費)、②職務に必要な図書費・衣服費・交際費等(職務関連性が必要)などです。ただし、家賃・光熱費・通信費は特定支出の対象外であり、給与所得者が直接控除することはできません。
| 雇用形態 | 在宅勤務経費の取扱い | 按分方法 |
|---|---|---|
| 給与所得者 | 原則控除不可(特定支出控除の対象外) | — |
| 個人事業主・フリーランス | 事業使用割合に応じて按分して経費算入可 | 床面積・使用時間・使用日数等 |
| 法人役員 | 会社から在宅勤務手当を受け取る場合は非課税(月5万円まで) | — |
個人事業主・フリーランスの家事按分
個人事業主・フリーランスは、自宅を事業に使用している場合、家賃・光熱費・通信費などを「事業使用割合」に応じて按分して経費(家事按分)として計上できます。按分の基準は、①床面積(仕事部屋の面積÷自宅全体の面積)、②使用時間(1日の仕事時間÷24時間)、③使用日数(年間の仕事日数÷365日)などが一般的です。税務調査に備えて、按分の根拠を記録しておくことが重要です。
法人役員の在宅勤務手当
法人が役員・従業員に在宅勤務手当を支給する場合、一定の要件を満たせば非課税となります。国税庁の通達(2021年1月)によれば、在宅勤務に通常必要な費用(通信費・電気代等)の実費相当額を精算する場合は非課税です。また、在宅勤務日数に応じた一定の手当(月5万円程度まで)も非課税として取り扱われることが多いです。
まとめ:在宅勤務経費は雇用形態によって対応が異なる
在宅勤務・テレワークの経費の税務取扱いは、給与所得者・個人事業主・法人役員によって大きく異なります。個人事業主・フリーランスは家事按分を適切に行うことで節税効果があります。法人の場合は在宅勤務手当の非課税制度を活用することで、役員・従業員の実質的な手取りを増やすことができます。


