# 定期借地権・定期借家権を活用した相続税・所得税の節税戦略
はじめに
土地の有効活用において、定期借地権・定期借家権は相続税対策と収益確保を両立できる有効な手法です。通常の借地権と異なり、期間満了時に確実に土地が返還されるため、地主にとってリスクが低い仕組みです。本記事では、定期借地権・定期借家権の種類と特徴、相続税評価の仕組み、節税効果まで詳しく解説します。
定期借地権の種類と特徴
一般定期借地権(借地借家法22条)
| 項目 | 内容 |
|-----|-----|
| 存続期間 | 50年以上 |
| 用途 | 制限なし(主に居住用) |
| 契約方法 | 公正証書等の書面 |
| 更新 | なし(期間満了で終了) |
| 建物買取請求権 | なし |
相続税評価への影響
一般定期借地権が設定された土地(底地)の相続税評価額は、自用地評価額から借地権相当額を控除した額となります。
底地の評価額 = 自用地評価額 × (1 - 借地権割合)
例:自用地評価額1億円、借地権割合60%の場合
- 底地評価額 = 1億円 × (1 - 0.60) = 4,000万円
つまり、1億円の土地に定期借地権を設定することで、相続税評価額を4,000万円に圧縮できます。
事業用定期借地権(借地借家法23条)
| 項目 | 内容 |
|-----|-----|
| 存続期間 | 10年以上50年未満 |
| 用途 | 事業用建物のみ(居住用不可) |
| 契約方法 | 公正証書(必須) |
| 更新 | なし |
| 建物買取請求権 | なし |
事業用定期借地権の活用例
- コンビニエンスストア・ファストフード店への土地貸し
- ドラッグストア・スーパーへの土地貸し
- 物流倉庫・工場への土地貸し
事業用定期借地権は、企業が確実に撤退できる仕組みのため、大手企業との長期契約が可能です。
建物譲渡特約付借地権(借地借家法24条)
30年以上の存続期間で、期間満了時に地主が建物を買い取ることを特約した借地権です。地主は建物を取得し、借地人は土地を返還します。
定期借地権設定による相続税節税の仕組み
評価額の圧縮効果
定期借地権を設定することで、土地の相続税評価額を大幅に圧縮できます。
一般定期借地権の評価(残存期間による調整)
定期借地権の評価は、残存期間に応じて計算されます。残存期間が長いほど借地権の価値が高く、底地の価値が低くなります。
| 残存期間 / 設定期間の比率 | 底地の評価割合 |
|----------------------|-------------|
| 0.95以上 | 5% |
| 0.90以上0.95未満 | 10% |
| 0.85以上0.90未満 | 15% |
| 0.80以上0.85未満 | 20% |
| 0.60以上0.80未満 | 30% |
| 0.30以上0.60未満 | 40% |
| 0.30未満 | 50% |
計算例
50年の一般定期借地権を設定し、残存期間が47.5年(比率0.95)の場合:
- 底地の評価割合:5%
- 自用地評価額1億円の場合、底地評価額:500万円
1億円の土地が500万円の評価額になるため、相続税の節税効果は絶大です。
地代収入の税務処理
地代収入の所得区分
定期借地権の地代収入は、不動産所得として申告します。
必要経費として認められる費用
- 固定資産税・都市計画税
- 管理費用
- 借地権設定に関する費用(弁護士費用等)
権利金・一時金の税務処理
定期借地権設定時に受け取る権利金・一時金は、以下のように処理します。
| 受取額 | 税務処理 |
|---------|---------|
| 権利金(返還不要) | 不動産所得として一括計上(または分割計上) |
| 保証金(返還必要) | 預かり金として計上(所得にならない) |
| 前払い地代 | 受取時に不動産所得として計上 |
定期借家権(定期建物賃貸借)
定期借家権の特徴
定期借家権は、期間満了時に確実に賃貸借が終了する契約です。
| 項目 | 普通借家権 | 定期借家権 |
|-----|---------|---------|
| 更新 | あり(正当事由なく拒否不可) | なし(期間満了で終了) |
| 賃料改定 | 借家人保護が強い | 契約で自由に設定可能 |
| 途中解約 | 原則不可 | 特約で可能 |
定期借家権の活用場面
- 転勤中の自宅を賃貸する場合(帰宅時に確実に返還される)
- 建替え予定の建物を賃貸する場合
- 相続した空き家を賃貸する場合
まとめ
定期借地権・定期借家権は、土地・建物の有効活用と相続税対策を両立できる有効な手法です。特に、一般定期借地権(50年以上)を活用することで、土地の相続税評価額を大幅に圧縮できます。また、事業用定期借地権は大手企業との長期安定契約が可能で、収益性と節税効果を同時に実現できます。定期借地権の設定には公正証書が必要なため、弁護士・税理士と連携して進めることをお勧めします。



