確定申告の控除:所得控除と税額控除の違い
確定申告で節税できる控除には2種類あります:
| 種類 | 仕組み | 節税効果 |
|-----|-------|---------|
| 所得控除 | 課税所得から差し引く | 控除額 × 税率分の節税 |
| 税額控除 | 計算した税額から直接差し引く | 控除額がそのまま節税額 |
税額控除の方が節税効果が大きいため、住宅ローン控除等の税額控除を優先的に活用することが重要です。
主要な所得控除:見落としがちな項目を中心に
1. 医療費控除(上限200万円)
年間の医療費が10万円(または所得の5%)を超えた部分が控除対象となります。
見落としがちな医療費の範囲:
- 通院交通費(電車・バス代、タクシーは緊急時のみ)
- 市販薬(処方箋なしの薬)は原則対象外だがセルフメディケーション税制で別途控除可
- 歯の矯正(子供の成長に必要な場合)
- 介護サービス費用(医療系サービスのみ)
- 妊娠・出産費用(入院費・分娩費等)
- レーシック手術費用
2. セルフメディケーション税制(特定一般用医薬品等購入費控除)
市販薬(OTC医薬品)の購入費が年間12,000円を超えた場合、超過部分(上限88,000円)が控除対象となります。通常の医療費控除との選択適用です。
3. 雑損控除:災害・盗難・横領による損失
台風・地震・火災・盗難・横領による損失は雑損控除の対象です。損失額が大きい場合は3年間の繰越控除も可能です。
4. 特定支出控除:サラリーマンの必要経費
給与所得者(サラリーマン)が業務に必要な支出をした場合、給与所得控除額の1/2を超える部分を控除できます。
特定支出の範囲(2026年現在):
| 支出の種類 | 具体例 |
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| 通勤費 | 会社が負担しない通勤費 |
| 転居費 | 転勤に伴う引越し費用 |
| 研修費 | 業務に関連する研修・セミナー費用 |
| 資格取得費 | 業務に必要な資格の取得費用 |
| 帰宅旅費 | 単身赴任者の帰宅旅費 |
| 図書費 | 業務に関連する書籍・新聞代 |
| 衣服費 | 制服・作業服等(スーツは原則対象外) |
| 交際費 | 業務上の接待費用 |
実務ポイント: 特定支出控除は勤務先の証明書が必要です。年収700万円の場合、給与所得控除190万円の1/2(95万円)を超える特定支出が対象となります。
5. 寄附金控除(ふるさと納税含む)
- ふるさと納税:自己負担2,000円で返礼品を受け取りながら税金を削減
- 認定NPO法人・公益財団法人への寄附:寄附額の40%が税額控除(所得控除との選択)
- 政治献金:寄附額の30%が税額控除(上限あり)
6. 小規模企業共済等掛金控除
| 制度 | 控除限度額 | 対象者 |
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| 小規模企業共済 | 年間84万円 | 中小企業オーナー・個人事業主 |
| iDeCo(個人型確定拠出年金) | 年間14.4〜81.6万円 | 会社員・自営業者等 |
| 企業型確定拠出年金(個人拠出分) | 年間24万円 | 会社員 |
主要な税額控除
1. 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)
2024年以降に入居した場合の控除額:
| 住宅の種類 | 借入限度額 | 控除率 | 控除期間 |
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| 認定長期優良住宅 | 4,500万円 | 0.7% | 13年 |
| 認定低炭素住宅 | 4,500万円 | 0.7% | 13年 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 0.7% | 13年 |
| 省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | 0.7% | 13年 |
| その他の住宅 | 0円(2024年以降新築は対象外) | — | — |
2. 外国税額控除
海外投資で外国税を支払った場合、一定額を日本の所得税から控除できます。米国株の配当に課される10%の源泉税等が対象です。
3. 配当控除
国内株式の配当を総合課税で申告した場合、配当金額の10%(課税所得1,000万円超の部分は5%)を税額控除できます。
2026年の確定申告で特に注意すべきポイント
1. 定額減税の精算:2024年実施の定額減税(所得税3万円・住民税1万円)の精算が必要な場合あり
2. 新NISAの非課税確認:新NISAの利益は申告不要だが、旧NISAとの混同に注意
3. 暗号資産の申告:仮想通貨の売却・交換・使用はすべて課税対象
まとめ:控除の見落としは「払いすぎた税金」
確定申告の控除は申告しなければ適用されません。特に医療費控除・特定支出控除・寄附金控除は見落とされやすく、申告することで数万〜数十万円の還付が受けられるケースが多くあります。5年以内であれば更正の請求で遡及申告も可能です。

