組織再編税制の概要
法人がM&A(合併・会社分割・株式交換・株式移転等)を行う場合、原則として資産の時価譲渡として課税されます。しかし、一定の要件(適格要件)を満たす組織再編(適格合併・適格分割等)については、資産の帳簿価額での引継ぎが認められ、課税が繰り延べられます(組織再編税制)。
適格合併・適格分割の主な要件
適格合併・適格分割の要件は、①完全支配関係(100%グループ内)、②支配関係(50%超グループ内)、③共同事業(独立した事業体間)の3つのパターンに分かれます。完全支配関係の場合は要件が最も緩く、支配関係・共同事業の場合は事業継続・従業員引継ぎ等の追加要件があります。
| 組織再編の種類 | 適格要件のパターン | 主な追加要件 |
|---|---|---|
| 適格合併 | 完全支配関係・支配関係・共同事業 | 事業継続・従業員引継ぎ・対価要件 |
| 適格分割(分社型・分割型) | 完全支配関係・支配関係・共同事業 | 事業継続・従業員引継ぎ・対価要件 |
| 適格株式交換・株式移転 | 完全支配関係・支配関係 | 対価要件(株式のみ) |
欠損金の引継ぎと制限
適格合併では、被合併法人の欠損金(繰越欠損金)を合併法人が引き継ぐことができます。ただし、欠損金の引継ぎには制限があります。①支配関係が生じてから5年以内の適格合併では、欠損金の引継ぎが制限される場合があります(特定資産の譲渡損失の損金算入制限も同様)。②欠損金の引継ぎを目的とした租税回避的な組織再編は、税務当局によって否認されるリスクがあります。
まとめ:M&Aの税務は事前の綿密な計画が不可欠
M&Aの税務は、組織再編税制の適格要件・欠損金の引継ぎ・のれんの税務処理・移転価格税制など、非常に複雑です。M&Aを検討する場合は、税理士・弁護士・公認会計士と連携して、事前に税務上のリスクと節税効果を詳細に分析した上で計画を立案することが重要です。
