# 金融資産の相続税対策:名義預金・名義株式のリスクと正しい対策
名義預金・名義株式とは
「名義預金」とは、口座名義は子どもや孫の名前になっているが、実質的には被相続人(亡くなった方)の財産と認められる預金のことです。同様に「名義株式」とは、名義は他の人になっているが実質的には被相続人の財産と認められる株式です。
名義預金・名義株式は、相続税の税務調査で最も問題になりやすい項目の一つです。
税務署が名義預金と判断する基準
名義預金の認定基準
税務署は以下の観点から名義預金かどうかを判断します。
名義預金と認定されやすいケース:
1. 口座の管理・運用を被相続人が行っていた(通帳・印鑑を被相続人が管理)
2. 口座開設時に名義人(子・孫)が関与していなかった
3. 名義人が口座の存在を知らなかった
4. 資金の出所が被相続人の収入・財産である
5. 名義人が口座を自由に使えなかった
贈与として認められやすいケース:
1. 贈与契約書が作成されている
2. 名義人が通帳・印鑑を自分で管理している
3. 名義人が口座を自由に使っている
4. 贈与税の申告・納付をしている(110万円超の場合)
名義預金が相続財産に含まれる影響
名義預金が相続財産に含まれると、相続税の課税対象が増加します。
例:名義預金3,000万円が発覚した場合
- 相続税の追加課税:約900万円(税率30%の場合)
- 延滞税・加算税:さらに10〜35%のペナルティ
名義預金の解消方法
方法1:正式な贈与として手続きする
名義預金を正式な贈与として認められるようにするには、以下の手続きが必要です。
1. 贈与契約書の作成:贈与者(被相続人)と受贈者(名義人)が署名・捺印
2. 通帳・印鑑の移管:名義人が自分で管理する
3. 名義人が口座を自由に使う:実際に引き出し・使用の記録を残す
4. 110万円超の場合は贈与税申告:贈与税の申告・納付をする
方法2:被相続人の財産として申告する
名義預金を正式な贈与として認められない場合は、被相続人の財産として相続税の申告に含めます。申告漏れより申告した方が、ペナルティを避けられます。
方法3:名義預金を解約して被相続人名義に戻す
名義預金を解約し、被相続人名義の口座に戻すことで、相続財産として明確にします。その後、正式な贈与手続きを行うことができます。
正しい生前贈与の方法
贈与契約書の作成
毎年の贈与について、贈与契約書を作成することが重要です。
贈与契約書の記載事項:
- 贈与者・受贈者の氏名・住所
- 贈与する財産の内容・金額
- 贈与の年月日
- 贈与者・受贈者の署名・捺印
振込による贈与の証拠化
現金手渡しではなく、銀行振込で贈与することで、贈与の事実を記録に残せます。
振込の際の注意点:
- 贈与者の口座から受贈者の口座へ振込
- 振込日・金額・振込元・振込先を記録
- 通帳の写しを保管
贈与税申告の活用
110万円を超える贈与をする場合は、贈与税の申告・納付を行います。贈与税を納付した記録は、贈与の事実を証明する有力な証拠になります。
名義株式の問題と対策
名義株式の認定基準
名義株式も名義預金と同様の基準で判断されます。
名義株式と認定されやすいケース:
- 株式の購入資金が被相続人から出ている
- 配当金を被相続人が受け取っていた
- 株主総会の議決権を被相続人が行使していた
- 名義人が株式の存在を知らなかった
名義株式の対策
1. 株式の購入資金を贈与(正式な手続きで)してから購入させる
2. 配当金は名義人の口座に振り込む
3. 株主総会の議決権は名義人が行使する
4. 贈与契約書・振込記録を保管する
相続税調査への備え
税務調査の対象になりやすいケース
- 申告した相続財産が少ない(被相続人の収入・生活水準と乖離がある)
- 子・孫名義の預金が多い
- 相続開始前数年間に多額の出金がある
調査への準備
1. 被相続人の過去10年分の預金通帳を保管する
2. 子・孫への贈与の記録(贈与契約書・振込記録)を整理する
3. 相続財産の漏れがないか税理士と確認する
まとめ
名義預金・名義株式は相続税調査で最も問題になりやすい項目です。
対策のポイント:
1. 子・孫への贈与は必ず贈与契約書を作成する
2. 通帳・印鑑は名義人が自分で管理する
3. 110万円超の贈与は贈与税を申告・納付する
4. 振込で贈与の記録を残す
5. 名義預金がある場合は税理士に相談して適切に対処する

